最果タヒ展

宮城 仙台パルコ 2023.2.2 THU - 2.28 TUE

言葉が、わたしを飛び越える。新しい詩の運動をまきおこしてきた現代詩人・最果タヒによる、言葉を体感するインスタレーション!

最果タヒ展とは

スマートフォンで詩を書き、現代の感情を繊細かつ鋭く表現する最果タヒの作品発表の場は、書籍はもちろんインターネット上にもとどまりません。今回の「詩の展示」は至る所に詩が展開された空間を、読者が歩き回って体験するインスタレーションです。会場にあるのは、作品があなたに読まれ、初めて意味を持つものであってほしいと願う、最果タヒによる「詩になる直前」の言葉たち。それらを追いかける体験を通して、自分の心が動く言葉やその瞬間、あるいは目が無意識に読んでいる感覚に気づくような、言葉との新たな出会いが生まれるでしょう。

作家Message

言葉は、常に運動をしている。何億人もの人がその言葉を用い、それでいて、それぞれが少しずつ違った意味や印象を、言葉の向こうに見出している。だからこそ言葉は、刻々と変化し、運動を続けている。
わたし一人が、言葉を一方的に、道具として用いることなどできず、常に、言葉が抱える無数の意味や価値の渦に巻き込まれていく。そのコントロールのできなさ、言葉に振り回される瞬間に、わたしは「言葉に書かされている」と感じます。それは時に、わたしよりも深く「わたし」を捉える言葉となる、わたしを飛び越えた、別の何かへと変貌する言葉となる、それこそが、わたしにとっての「書く喜び」です。言葉がわたしの代弁者として、世界へ出ることなどありません。わたしはいつも置き去りにされ、そこが痛快であるのです。
知らない自分に、言葉で会うこと。それは、自分の底さえ突き破り、その向こうの、自分ですらないものへと、繋がることだ。だからこそ言葉は、書かれ、他の誰かに読まれることをじっとじっと待っている。

詩の展示。
言葉が、わたしを飛び越える。
それは、「読む」瞬間もきっと同じです。読むことは、与えられた言葉を受動的に読むのではなく、その言葉を自分だけの言葉へと変容させていく行為だと思う。そのとき、言葉の変化は、読むその人の予想を、そしてその人自身を、時に追い越していくだろう。それは「書かれた言葉」のスピードであると、読み手は思うのかもしれない。けれど、あなたも加速している、あなたの言葉が、加速している。そのスピードを、肌で、気配で、空間として、感じられる場所を、私は「詩の展示」と呼んでいます。

われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。あなたしか立つことのできない確かな星から、どうか、言葉を見に来てください。

最果タヒ

最果タヒ

最果タヒ
Tahi Saihate [詩人・作家]

1986年生まれ。2006年、現代詩手帖賞受賞。2008年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2015年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(同作は2017年石井裕也監督により映画化)。エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』などがある。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では100首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百年一首という感情』刊行。2018年に太田市美術館・図書館での企画展に参加、2019年に横浜美 術館で個展開催、HOTEL SHE, KYOTOでの期間限定のコラボルーム「詩のホテル」オープンなど、 幅広い活動が続く。最新刊は短編集『パパララレレルル』、エッセイ集『神様の友達の友達の友達はぼく』。
公式サイト http://tahi.jp/

佐々木俊

展示デザイン:佐々木俊
Shun Sasaki [グラフィックデザイナー/アートディレクター]

1985年仙台生まれ、東京在住。2010年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。
アドブレーン、グリッツデザインを経て、2016年デザイン事務所AYOND(アヨンド)を設立。これまで最果タヒの複数の著書、展示環境のデザインを担当。その他の仕事として、NIKE吉祥寺店の店舗グラフィック、東京国立近代美術館「デザインの(居)場所」宣伝美術、連続テレビ小説『エール』タイトルロゴなどがある。参加展示として、2018年太田市美術館・図書館『ことばをながめる、ことばとあるく―詩と歌のある風景』がある。

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